エリートと労働者層が混在。「母国」で語られた日本ラグビーの特異点
ラグビーW杯日本大会開幕まで1年を切った。ロンドンで行われた講演会より。
■労働者とエリート。階級がまじりあう日本ラグビー
また、講義後の質疑応答の時間帯では、この日講師たちが語った日本ラグビーの歴史、文化、構造を、西洋人目線で見た、面白い質問もあった。例えば、新日鉄釜石や、神戸製鋼など、昔ながらの鉄鋼労働を基軸とする労働者階級の社会人チームが強いかと思えば、慶応、早稲田、同志社などのエリート大学が強い時代もあったのは、何故か?
今でも階級社会の名残が日本に比べて非常に強く残るイギリスでは、社会階級と好きなスポーツに相関性があり、サッカーは労働者階級のスポーツで、ラグビーはアッパー・ミドル・クラス(中流の上以上)のスポーツだというのは有名な例。さらにラグビーの上には、クリケット、ポロなど、更に労働者階級離れしたフィールドスポーツも存在する。何故、ラグビーというスポーツの中に、エリート層と労働者層が混在しているんだ、という意図の質問であった。
ラグビーの母国イングランドで、来年に日本で開催されるラグビーワールドカップを記念して行われた講演会。その後の交流会も、振る舞われた日本酒を片手に、様々なラグビー談話がいつまでも続いた。RWC2019開幕まで、あと一年。世界中のラグビーファンの目が、益々日本へ集まる。